
技能ビザで転職はできる?
技能ビザでコックとしてレストランで働いていたけど、転職したい。これ、できるでしょうか?
働いているお店がつぶれてしまったとか、人間関係や給与などの労働環境に不満があって、違う店で働きたい、ということはあるとおもいます。
こういうとき、技能ビザでも転職は可能です。
ただし条件がありますので、注意しましょう。
転職できる職種
まず、どんなお店でも働けるわけではありません。たとえば、イタリア料理のコックとして技能ビザをもらったのなら、転職先はイタリア料理店だけです。転職するお店がフランス料理店だったり、中国料理店だったりしたら、NGです。そうしたお店に転職後、技能ビザの有効期限が近づいてきたので技能ビザを更新しようとしても、更新は許可されないでしょう。この人が持っている技能ビザは、あくまでも、イタリア料理のコックとして許可されたビザだからです。
当たり前ですが、コックから異なる職種に転職する場合でもNGです。こういう場合は、「在留資格変更許可申請」をおこなう必要があります。必要な手続きは入管のこのページにのっています。
14日以内に入管に届けでる
また、違うイタリア料理店への転職なら原則は問題ないですが、転職から14日以内に、入管に「転職しましたよ」ということを伝える「所属機関等に関する届け出」をしなければなりません。入管のこのページに必要な書式があります。

14日間というのは意外とあっという間なので、まにあわないこともあると思いますが、そんなときは、おそくなってもいいので、入管に届け出ましょう。まったく届け出ないでいると、ビザを更新したり変更したりする段階で不利に働きます。ビザの期間が短くなったりするリスクがあるので、遅れてしまったとしても、届け出しましょう。
届け出はオンラインでもできますし、最寄りの入管に持っていっても大丈夫です。
「就労資格証明書」をとると安心
さて、イタリア料理店からイタリア料理店という同じ仕事に移る場合、「所属機関等に関する届け出」をだしておけば、安心というわけでは実はありません。
技能ビザをもらうためには、申請人である外国人の職歴(10年以上の実務経験があるか)がチェックされるだけでなく、お店との間の雇用契約書やお店の決算書もチェックされます。給与がほかの日本人に比べて安くないかとか、お店が安定した経営状況にあるかなどを入管が判断したうえで、ビザをもらえるわけです。入管は、雇用契約書の条件や、実際に店内でどんな仕事をするのか、お店の経営状況などをみています。つまり、ひとくちにイタリア料理店のコックとしての技能ビザだといっても、それは、その料理店Aで働くという前提があるわけです。
そのため、違う料理店Bに転職したら働く条件も変わってくるので、必ずしも今の技能ビザで大丈夫ということにはなりません。こういうときには、「就労資格証明書」というものを取得するようにしましょう。
就労資格証明書は、このケースでいうと、「あなたは、今もっている技能ビザで、料理店Bで働くことができますよ」ということを、入管に確認してもらったという証明書です。これを持っておけば、ビザ更新のタイミングでも、すでにその料理店Bで働けることは入管が確認済みなので更新しやすくなります。外国人を雇用する料理店Bの方でも、ビザが有効なことがわかるわけなので安心できるということになります。
まとめると、こんなふうになります。

■著者
曽田幹東 ( Soda Mikito)
申請取次行政書士。新聞記者などを経て、神奈川県横浜市で「曽田国際行政書士事務所」を運営しています。
在留ビザと帰化について、わかりやすい説明をこころがけています。
当事務所へのお問い合わせはこちらまで↓