
ビザが不許可になったら
ビザを申請して不許可・不交付になると、最初になにをすればいいのでしょうか。
実はやることははっきりしています。入管に理由を聞きにいくことです。
不許可の理由を知る
不許可になった理由をわかっていなければ、再申請しても、もう一度不許可になる可能性は高いです。
まずは、なんでだめだったのか、その理由をしっかり知ることが大切です。
そもそも、不許可になった理由を教えてくれるのかと思うかもしれませんが、その点は心配いりません。
申請者にとって不許可・不交付は不利益処分ですから、入管も申請者が尋ねたことについては、きちんと回答してくれます。
ただし、理由を聞きにいくときは、不許可理由についてポイントをおさえて聞くために、
申請人本人だけでなく、専門の行政書士なども一緒にいったほうがいいでしょう。
不許可理由は1つだけでなく、複数あることも多いので、だめだった理由を、漏らさずにしっかり聞くことが大事になります。
事前予約は必要ありませんが、本人であることの身分証と、申請番号がわかる不交付通知書をもっていくことが必要です。
「資料提出通知書」に、きちんと対応しましたか?
不許可になる申請では、多くの場合、審査の途中で、「資料提出通知書」が申請者に届いているケースが多いです。いきなり不交付になってしまうのではなく、「この資料が足りないよ」というお知らせが申請書に届くことが多いです。
この通知書には、「以下の資料を送付願います」などと書かれていて、追加資料の提出を要求されます。この要求に対応しないのも申請者の自由ですが、そうすると、入管は申請者が最初に提出した資料だけをもとにして、ビザを交付するかしないかという処分を決定します。対応しなければ、まず不許可になると覚悟してください。
ビザの交付判断は基本的に書類上で行うので、経歴などの立証責任は、申請者側にあります。入管が申請者が立証できなかったことを好意的に解釈する理由はないので、立証できなければ不許可になる確率は高まります。
資料提出通知書をよく読んで、なにが足りないと言われているのかを、よく分析しましょう。
はじめてビザを自分で申請する場合、入管のホームページに掲載されている書類をそろえたから大丈夫、と思ってしまいがちです。ただ、入管の担当者の立場から考えてみてください。申請者本人は自分の経歴はもちろんよくわかっているわけですが、書類を通してしか判断できない他人からは、申請者がしっかりと書類でその経歴を証明しなければ、それが本当かウソか、わかりません。第三者の視点にたって、この資料で相手は理解できるだろうか、と考えてみることが必要になります。もし、自分が提出した資料では足りないなら、補足資料を可能な限り追加しましょう。
提出できない資料があるときは「理由書」も追加しましょう。書式は自由です。なぜ立証できないのかについて、自分ではどうしようもない理由があるということを、わかってもらうように書く文書になります。
提出書類のコピーは必ず取っておく
追加資料が以前に提出した資料と矛盾するような内容になると、ウソの申告と疑われてしまいます。そうならないためには、自分がどんな内容で申請したかを、しっかりわかっておかなければなりません。入管に申請する前に、申請書類のすべてをコピーを取って保管しておきましょう。そうすれば過去に申請した内容と新たに申請する内容が合わない、といった事態をさけることができます。
書類をそろえることだけを考えて、意外と申請書類をコピーしない人が多いです。そうすると、以前の申請と違う内容で申請してしまうという、きちんと対応していれば防げたミスを招きかねないので注意してください。
初めて日本に来た人はあまりこの問題は起きませんが、何回も日本に来て何度も申請している場合、矛盾が起きる可能性は高くなります。虚偽申請をうたがわれて不許可にならないために、過去の申請内容を把握しておくことは大事です。
コピーを取っていない場合、最終手段として、情報公開で自分の申請内容を正確にしることも可能です。
申請者本人か代理人が「保有個人情報開示請求書」を入管に申請します。ただ開示までに1ヶ月以上かかることもあり、申請準備がとどこおってしまうというデメリットもあるので、できれば、自分でコピーを取っておくことをおすすめします。

■著者
曽田幹東 ( Soda Mikito)
申請取次行政書士。新聞記者などを経て、神奈川県横浜市で「曽田国際行政書士事務所」を運営しています。
在留ビザと帰化について、わかりやすい説明をこころがけています。
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